MarySue

しとやかな獣のMarySueのレビュー・感想・評価

しとやかな獣(1962年製作の映画)
4.5
セットだからこそできる抜群のカメラワークで、人間の汚れた部分を余すことなく映しながらも決して重くなり過ぎずユーモアを交えながら淡々と冷徹に描く。

安い方の団地で暮らす詐欺一家の長男、芸能プロの社長、財務職員を欲望の道に誘い込んだのは女か?男が尻尾振った犬みたいにご機嫌よろしくホイホイ着いてきただけでは?自分の目的のために男を銜え込んだのは女ですが。

特に好きだったのがお堅い仕事に就いたが女に狂わされた財務職員。彼の最後の台詞、「あたしは生まれて初めて楽しかった……」が考え込んでしまうほどに刺さった。他にも最後のあの顔。どういう意味の顔なのか。虚にも鋭い眼光にも見える。

演技と独特ながら核心をついた台詞が猛威を振るった今作。一言にまとめると「感動」。完璧にくらった。定期的に出てくる映画の素晴らしさを再認識させてくれる映画でした。
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