<概説>
かわいい娘の周囲で不可解な事故死が相次いでいた。そしてある日、またも同級生の溺死事件が起きる。次第に膨らんでいく愛娘への疑惑。一連の騒動の真相は如何なものか。映画史に今尚悪名を轟かせるサイコスリラー。
<感想>
同系統作品にまず『エスター』が挙げられます。
ポスターやあらすじからお察しのとおり、そのテの悪役が大暴れするタイプの映画。大元がミステリとしては三流未満の奇天烈トリックでありますから、知名度の割に映画化するのがなかなかに難しい題材です。
実際私は『エスター』がそこまで好きでもない。
ネタを知ってみると、その突拍子のなさに白けた記憶があります。不気味な演出が非常によかっただけに、それに伴わないトリックに落胆してしまったというか。
しかしこの作品は素晴らしい。
なにが同系統作品から並外れているのか。
他の作品のネタバレにならない範囲で言うのならばーーートリックが存在しないのです。犯人がそっくりそのままで、隠すつもりがない。隠すことがない。
とにかく不気味で残虐。その一点を突き詰めている。
不快なピアノの音色。
焼死する男の断末魔。
乱入してくる被害者遺族。
ああまったくもって気持ちが悪い。最高に心地良い。
トラウマ映画として記憶する方がいるのも納得の、良質なサイコパス映画です。そしてなによりあの普通興醒めなエンドロールが、後腐れなく席を立たせてくれますしね。
わるい子はしっかりあれくらいの罰を与えないと。