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悪い種子(たね)のkouのレビュー・感想・評価

悪い種子(たね)(1956年製作の映画)
4.5
思い起こさせるのはオーメンやエクソシスト、ローズマリーの赤ちゃん等、純粋無垢な存在であると信じている子供の邪悪さだ。その生まれ持っての邪悪さというものを、今作では遺伝的なものであると言い切る。

初めはどんな映画かわからなかったのだが、次第に恐ろしさを増していく。冒頭から、周到に登場人物からもたらされる気持ち悪さを含ませる。異常に干渉してくる大家、気味の悪い使用人、アルコール中毒となる同級生の母親、どこか気持ちの悪さを抱えながら、映画の後半には恐ろしい事態へと進んでいく。

子供の持つ純粋な残酷さ、自己中心的な世界の狭さ、そこに母親のノイローゼが重なることで追い込んでいく。ピアノの旋律が、繰り返される毎に恐ろしさを増していく。その不気味さが見事。「よこがお」を思い出したりもした。

ラストは2段階の驚きがある。1段階目の突然起こる展開も、2段階目の衝撃を緩めるための展開も、今の映画でもありえない衝撃で、こんな作品がこれほど前に作られていたのかと驚かされた。
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