天豆てんまめ

世界の中心で、愛をさけぶの天豆てんまめのレビュー・感想・評価

世界の中心で、愛をさけぶ(2004年製作の映画)
3.9
今、時代の空気感は世界の中心で愛を叫ぶなんて、はしたない。この世の片隅に一輪の花を咲かそうよ、という風潮なのかもしれない。逆にInstagramやTwitterでみんながみんな世界中で叫んでる時代かもしれない。そもそも世界の中心という表現に違和感がある時代、この作品はどう映るのだろう。一昔前、人は恥ずかしげもなくどストレートな青春映画を楽しんだ。その時確かに「世界の中心で、愛をさけぶ」の時代だった。

行定勲監督の抒情的な映像美。
大沢たかおと柴崎コウの喪失感。
山崎努の写真館の親父の説得力。
長澤まさみの圧巻の瑞々しい輝き。
森山未來の未熟故のストレートな衝動表現。

青春映画ってクサくなるくらいベタでそれでいて眩しくていいのではないだろうか。次々に公開される少女漫画原作の青春映画より、濃度と純度が高く感じたのはなぜだろう。

原作の「小説」もWミリオンを超えたのはこの時「ノルウェイの森」以来だった。多くの人が歓喜、共鳴する何かが動く時、そこには必ず理由がある。ベタでステレオタイプであざといと批判も多くあったけど(君の名は。への批判と似ている)良く使われる病気悲恋ものの枠組みだとしても、そこに描かれた青春の煌きは、確かに鮮やかに表現されていた。

ただやはり一番は、輝きに満ちた長澤まさみのキラキラ感のインパクト。この作品と「モテキ」「マザー」を続けて観たら、きっと隔世の感をきっと感じるはず、、