このレビューはネタバレを含みます
退屈だとか長いとか脈略がないとかもっと伏線とかが上手い脚本だと思ったとか、全て言ってることはわかるが、そうじゃないんだよと僕は思う。
僕らは世の中に色々な意味を見出して生きているわけで、物語というのは基本的にそういう意味づけの最たるものだと思う。もちろんそれは大切なことだし、そうやって生み出される面白い物語も楽しいのだけれど、この映画は、意味づけされる前の現実があるのではないかということを感じさせる。
一番象徴的なのはジョントラボルタが撃ち殺されるシーン。あの死は、ストーリー上なんの意味もない。だれかが挫折するためでも、だれかに勇気をあたえるためでも、感動のエンディングのためでもない、ただ死ぬような状況になったから死ぬのだという、そういうリアリティがあそこにはある。
時系列シャッフルというと、伏線がどうこう的なうまさを期待してしまうのはわかるが、ここではむしろある意味逆で、徹底的に統一的な意味を持たせないために用いられていると考えるべきだろう。
こういった意味の排除(というより、最初からそんなものは無いのではないかという問いかけ)は、物語にとって決定的に革新的であったのだと僕は思う。本当に傑作。