レオピン

デイライトのレオピンのレビュー・感想・評価

デイライト(1996年製作の映画)
3.6
NYマンハッタンとニュージャージー州を結ぶトンネルで火災崩落事故が起きる。

もう最高の「人間ナメんな!」映画。96年というとスタローンも50歳の大台。展開はあの『ポセイドン・アドベンチャー』のようで、最後に主人公が神を挑発するような場面までそっくり。

事故発生直後、生存者たちはみんなムチャクチャ仲が悪い。すぐに不平不満を漏らすし、誰かのせいにしたりする。皆自分のことしか考えない。日本以外じゃそれが当たり前だよなぁ。

それが、車の下敷きになった警官ジョージを救う場面で一変。一致団結して力を合わせる。みんなでやれば出来ないことはないんだーって、急な態度の変化にやや面食らう。

いや、これも危険を顧みずに只一人救出に来てくれたキットの無私の精神があったからこそだ。

キットはかつて救助隊の隊長をしていた男だが、今はタクシー運転手。自分の判断ミスから部下を死なせてしまったせいか率先して危険に立ち向かうようになっていた。贖罪意識。だから、いかなる状況でも誰一人見捨てないという強固なポリシーを持っている。

この映画のスタローンは超人的要素はほとんどない。生存者たちの所へ辿りつく為に換気口から侵入するシーンがあったが、巨大な換気扇の4枚をわずかな時間でくぐり抜けなければならないという所でハラハラさせる。肉体派スターらしいアクションはここぐらいだ。

終盤、「俺を倒してみろーっ」と、ジーン・ハックマンの牧師さながら神を挑発するかのように叫ぶ。
「俺を遺したぞ、今にお前の心臓をつぶすっ」と言って爆薬を壁の中に埋め込む。どおりゃあああああああああ

結果、この救出劇で命を落としたのはわずかに4名。生還者は9名、そしてワンさん1名。このワンこ(ポインター種)がかわいい。涼しい顔でスイスイ犬かきして見事に生還。おばあちゃんはショックで死んじゃったけど。

ヒロインにはエイミー・ブレネマン。Gが這い回る部屋でも気にせず暮らしていた逞しい作家の卵。若きスポーツ会社の社長ロイには、ちょっと見た顔だと思ったらやっぱり、売れる前のヴィゴ・モーテンセン。

最後のワンこの件り。おばあさんが亡くなったと分かった後にワンこが泳いでいる姿を発見、それを助けようとキットは水の中へ。だがそれを追ってマデリーンまで落ちてしまう。犬を助けるために二人も犠牲になる?

まるでトロッコ問題のようだが、これは自分の宿題としよう。さて自分だったらどうするか?
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