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日曜日が待ち遠しい!のotomisanのレビュー・感想・評価

日曜日が待ち遠しい!(1982年製作の映画)
3.8
 「私は女なのよ」とバルバラから告げられ初めて気が付いた?らしいトランティニャンが社長と秘書なら当然の関係を冒涜している?どこに目を付けているのやら?また、その一言ですぐに事に至ってしまう燃えやすさは「バカになったみたい」ではなく、T社長も真正のバカに違いない。しかし、火の持ちがいいのか神前の誓いに行き着くのだから思いの丈もまた真正だ。相手は一度に一人だけ、というのも情熱の向け方の一様態、監督自らの心持の表明かもしれん。
 そうなるに至る、T社長の友人と自らの細君両名の殺人ならびにT社長への容疑が真犯人である友人の弁護士クレマンの偽装に係る事であり、さらに死んだふたりの姦通に狂った社長の「情熱殺人」に情状を酌量してくれろ、という友情ゆえの偽装?が施されるなら、これまた、「情熱弁護」の名に恥じまい。ついでに、それに司法も応え「情熱審判」を下すなら「情熱社会」フランスの面目躍如であろう。
 なんだかこれぞフランスと言いたげな熱いやら痛いやらな恋模様の一方で、真犯人はその色に迷って自分の首を絞めてしまう。そんな人生黒々な彷徨も世のもう一面と告げるのが監督の色抜き映画なる裏の真意かもしれない。これが日本なら女子大生と松田探偵なんかの丁々発止を多色刷りで仕上げるところだが、そのひと月後、恋人ファニーを投じてT監督も自分の男盛りをトランティニャンに託し二人の未来を祝いたい裏があったかもしれない。それが、エンディングをカメラの危うき「筒先」を浮かれて弄ぶ小娘どもなんぞに勤めさせて、まさかの一寸先は闇である。望みの日曜をふたり幾たび過ごせたろう。
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