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ヒトラー 〜最期の12日間〜のarchのレビュー・感想・評価

ヒトラー 〜最期の12日間〜(2004年製作の映画)
3.3
物語性はない。あるのは終戦間近、敗戦を前にナチスが何を考え、何を行ったのかを国名に記した映像記録。一切エンタメ性はない。

タイトルの通り、最後の12日間を描いている。ヒトラーのカリスマは見る影もなく、現実逃避をして味方を怒鳴りつける。最後には自殺の算段に躍起になる。
地上の市民や兵士は殺され続け、地下の幹部は自暴自棄になって飲み狂い自決する。地獄そのものだ。

戦争の愚かさ。狂った指導者に付き従った人間の末路を妥協なく描いている。

今作はトラウヴェル・ユンゲの視点によって語られた話を参考にしており、最初と最後にその語りが挿入されている。
彼女はその戦争の愚かさを直接見てきた人間だ。そして1番幸福に過ごせた人間にも思う。危険にさらされず生き延びて、罪に問われず老人になって死ぬことが出来た。
そんな彼女がホロコーストの600万人の犠牲と自分を結び付けられたのはその後、銘文を読んだときだ。その顔に映る後悔や罪悪感の色こそがこの映画で何よりも真に迫っていた。
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