ユースケ

ジャッジ・ドレッドのユースケのネタバレレビュー・内容・結末

ジャッジ・ドレッド(1995年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

【ヒストリー・オブ・バイオレンス】の原作者ジョン・ワーグナーによるイギリスのコミック【ジャッジ・ドレッド 】をシルベスター・スタローン主演で実写映画化した本作は、製作費90億円に対して北米で興行収入34億円という大赤字を叩き出し、スベり気味だったシルベスター・スタローンのキャリアにトドメを刺した一本。

確かに、ジャンニ・ヴェルサーチがデザインしたイカついヘルメットとアーマーを身に纏い、イカついバイクで現場へ駆け付け、開口一番「I AM THE LAW!(俺が法律だ!)」とイカつい決めゼリフをかますシルベスター・スタローンはまさにジャッジ・ドレッドでしたが、「正義には顔がないものだ。だから読者は主人公の顔を見る必要がないし、また見て欲しくもない。」という原作者ジョン・ワーグナーの意向からコミックでは破られる事のなかった顔出しNGの掟を上映開始16分でアッサリと破り、脱いではいけないヘルメットもアーマーも脱ぎ捨て、いつもの脳筋アクションをおっぱじめるシルベスター・スタローンはジャッジ・ドレッドではありません。

自尊心を抑えきれずにヘルメットを脱いだシルベスター・スタローンは原作のコミックを読んで勉強するべきだったと思いますが、一番勉強するべきなのは、【デモリッション】のプロットをパクリまくった上、ドレッドの活躍を大して描かずにドレッドの出生の秘密を描いた脚本家だと思います。
ついでに、コミック・リリーフのロブ・シュナイダーも、悪役のアーマンド・アサンテも、ハッキリ言って微妙です。

当時の最新のSFXとVFXを融合して描かれた猥雑なメガシティや退廃的なABCロボ、放射能で汚染された砂漠に暮らす宗教狂いの食人一家(オデコのダイヤルで興奮度を調整するサイボーグがたまりません)、音声認識で射撃のスタイルや弾薬のタイプが変わる処刑銃など、ニッチなみどころが盛り沢山なのだけに残念。
金に物を言わせて交通違反を揉み消そうとする調子に乗った金持ちの車を木っ端微塵に吹っ飛ばすシーンも最高なのにね。

日本語吹替版での鑑賞がオススメなのですが、東芝デジタルフロンティアから発売されたVHSか旧盤DVD(プレミア価格)にしか吹替は収録されておらず、フジテレビ版に至っては鑑賞する方法がありません。ディズニーから出たBlu-rayは吹替はおろか特典も何も収録されていない手抜き仕様。クソです。

ちなみに、【デモリッションマン】との類似点は、主演がシルベスター・スタローン、ジャンルがSF、舞台が未来のアメリカ、相棒が女性、悪役が物語の黒幕によって刑務所から解放される、主人公が悪役にハメられて無実の罪を着せられる、ラストバトルが悪役製造工場…さすがにこれはパクリ過ぎだな。