プペ

ゾンビ/米国劇場公開版のプペのレビュー・感想・評価

ゾンビ/米国劇場公開版(1978年製作の映画)
4.0
腐る程ゾンビ映画を見ても、やはり帰って来る所は″ここ″。
そう、まるで我が家だ。

冒頭の混乱しまくったTV局内のリアルさに、訳もわからず映画の中に放り込まれる。
有りえない状況なのにも関わらずなぜだか全編を漂う現実感。
絶望的なのに魅力的な終末世界。
「私ならこう生き残る」「私なら○○をする」などのシュミレーション談議だけで、朝まで美味い生き血が飲めそうだ。


″ホラー映画″が映画のジャンルの一つとして成立し、特殊メイク技術の発達に伴い雨後の筍の如くゾンビ映画が巷に溢れる様になった今、敢えて本作を見返すと、今この年代だからこそ判る表現・描写が多い事に今更ながら唸らされる。
本作を評するのに既に使い古されたフレーズだが、本作はそのまま人間社会の縮図であると言える。
表面的に映像を追いかけるのでは無く、このシーン・この台詞にはどの様な意図が盛り込まれているのか?と考えながら映画を観る様になったのも、私の場合は他でもないこの『ゾンビ』からなのだ。

他人とワイワイ観る映画では無い、馬鹿笑いしたいなら、CGテンコ盛りの走り回るゾンビが大挙して出てくる作品を観れば良い。
本作は、夜な夜なキッチンの棚に仕舞われたスナック菓子を悪びれることなく持ち出し、其れを貪り食べながらじっくりと観たい、そう思える作品だ。


自分自身の映画鑑賞史に於ける本作の大きさ、後世の数多の作品に与えた影響を称え、高得点を献上する。

ロメロよ、永遠であれ。
プペ

プペ