イチロヲ

都会のアリスのイチロヲのレビュー・感想・評価

都会のアリス(1973年製作の映画)
4.0
都会の喧騒の中で自分を見失っているジャーナリストの青年が、9歳の少女アリスとの出会いをきっかけにして、自分を見つめ直す旅に出る。大人と子供の交流劇を描いている、ロード・ムービー。

とにかく、「子役の演技力がスゴイ」のヒトコトに尽きる。言葉では形容のできない、心の機微というものを見事に表現している。自然体を大事にした演出が冴え渡っており、表情の変化や視線の移動に、意識を持っていかれる。

お互いに負の部分を埋め合いながら旅を続けるのだが、次第にアリスはオトナにしか入ることができない絶対領域の存在に気づき始める。アリスの世話役を引き受けた主人公が、アリスに世話される側になってしまうところが面白い。

本作は、主人公が自分を見つめ直す物語であると同時に、少女がオトナの世界を知る物語でもある。本作を鑑賞すると、自分の住んでいる町を俯瞰視点で捉えながら、自分という存在について、考えてみたくなる。
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