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スモール・ソルジャーズのすくりねのレビュー・感想・評価

スモール・ソルジャーズ(1998年製作の映画)
4.0
新発売される子供用玩具をCMのように動かせという上司の無茶な要求をなんとか実現しようとした結果、開発者が軍用コンピュータをフィギュアに搭載してしまい、インプットされた命令に従い兵士のオモチャたちが大暴れするという今作。

自我を持ったオモチャを取り扱う作品を観ると必ずいたたまれない気持ちになってしまう自分ですが、普通にエンタメとして楽しめる一作でした。

・アメトイの良さ
やはりパッケージデザインや、プロダクトデザインのこだわりがいいですね。

ヒーロー然としていて殺戮マシーンだったソルジャーズは、それぞれ得意分野が違っていたり、見た目にも特徴があって楽しめます。

軍事用コンピュータを組み込んでしまうというアイデアも面白い。
最新技術は先に軍事利用された後で民間に広まる、みたいな話もあったりするので最先端のオモチャを目指すならそれを搭載したのも納得といった感じ。

さらにこのオモチャ、3Dモデルからプラスチック成形されており、1998年より前の段階で3Dプリンター的な概念があったのか、と驚かされましたね。

・DIY
兵士たちのDIYっぷりが非常に良くて、ミキサーの攪拌部を組み合わせ、矢文用の矢を作るという斬新なアイデアに唸りました。
工具が大量に置いてあるガレージに侵入し、武器に変えるようなシーンはさながら「イコライザー」*1 みたいでテンション上がります。

ラジコンに乗って目標を追跡したり、火炎放射器を使ったりと、バッド・カンパニー*2 も真っ青の一個小隊を作り上げたりしていて、もはや戦争です。

・安息の地を求めて
ソルジャーズの敵として生み出されたゴーゴナイトというモンスターたちは、その恐ろしげな容貌とは打って変わって内面は平和を愛し、暴力を嫌うというギャップ萌えを刺激される仕様。

そんな彼らはゴーゴンという故郷に帰りたいという強い願望を持っています。
玩具としての設定上プログラムされただけではありますが、ソルジャーズがゴーゴナイト絶対殺すメンになっているように、ゴーゴナイトたちもゴーゴン絶対帰るメンになっているのです。

この辺、ちょっと宗教みたいだなぁと思ったりしていて、バビロン捕囚*3 っぽいんですよね。
ゴーゴナイトが兵士に弾圧されながらもエルサレムに帰りたいと願う民に見えるというか。

主人公アランもゴーゴナイトと重なる部分があります。
誰からも認めてもらえず厄介な不良として転校を繰り返していた彼は、自分にとっての安息の地を求めていたのではないでしょうか?
ゴーゴナイトたちを追い払わず匿ったのも、そのような感情を持っていたからのかなと思うと結構エモいですね。


*1 イコライザー
デンゼル・ワシントン主演の「舐めてた相手が実は殺人マシンでした」系映画。
ホームセンター勤務の元海兵隊員であるデンゼル・ワシントンが、痛快に悪を成敗するエンタメ作で、様々な工具を使うあたりのテンション感が似てます。まぁ自分の店の工具勝手に使ってるんですけど。

*2 バッド・カンパニー
ジョジョの奇妙な冒険 part4 ダイヤモンドは砕けない」にて登場したミニチュア軍隊のスタンド。
そういえば劇中歌でレッド・ツェッペリン(ツェペリ)やAnother One Bites the Dust(バイツァ・ダスト)やスパイス・ガールズ(スパイス・ガール)などの曲が流れててめっちゃジョジョ!って1人で興奮してました。

*3 バビロン捕囚
古代イスラエルの民がバビロンに強制移住させられた事件。
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