ヒロオさん

アラビアのロレンスのヒロオさんのレビュー・感想・評価

アラビアのロレンス(1962年製作の映画)
3.6
第一次世界大戦中、トルコ軍に対抗するアラブの諸民族を率いた英国人の話。
実在の人物がモデルとなっている。

流石に冗長で、楽しめたというと嘘になるが、それさえ除けば作品として申し分なかった。

ストーリーの厚み、音楽の質、CGではない壮大な砂漠風景などが素晴らしい。

前半は、ロレンスの英雄譚となっている。

賢いロレンスは、異民族長相手に巧みに交渉をする一方で、その誠実な人柄でもって信頼や友情を築いていく。
そして、民族同士の対立もうまくおさめて彼らをまとめあげ、共に過酷な砂漠を超え、トルコ軍との戦いに勝利する。

転じて後半では、国際政治の渦にのまれていくロレンスの葛藤が描かれる。

次第にアラブに情熱を傾けるようになり、「アラビア半島はアラブ人のものだ」と考えるようになるロレンス。
対して、イギリス本国にとってアラブの独立を支援するというのは名目に過ぎない。
戦時中はアラブ民族を戦力として利用し、戦後はその土地の占領を目論んでいる。

ロレンスは、アラブの利用を目論むイギリスの駒に過ぎなかった…

英雄譚や綺麗事で終わらせず、苦い現実を描いていた点が本作の良いところだと思った。
ヒロオさん

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