天豆てんまめ

犬神家の一族の天豆てんまめのレビュー・感想・評価

犬神家の一族(2006年製作の映画)
3.1
市川崑監督が自作をもう一度、別のキャストで製作した本作。
脚本は前作のまま。それを作る意義は何だったのだろうか。
私にはよくわからない。

但し、物語の密度が濃く、映像も美しく、前作を観たかどうか
うろ覚えな中で、見入ってしまう。石坂浩二も年齢の割に若々しさがあり、松嶋菜々子は美しい。富司純子に松坂慶子と往年女優の迫力に、ピンポイント深キョン。そして、重要な佐清役に尾上菊之助。雰囲気に合っている。

1970年代に、ミステリー映画の傑作として完成度が高いと言われた作品のリメイクの意義が製作者的にはあったものの、観客にとってどうだったのか分からない。前作に愛着のある中高年から高齢者の観客にとって。
前作を知らない若年層にとって。私のように曖昧な者にとって。

ただ、聞き覚えのあるテーマ曲と特大の明朝体クレジットと豪華俳優陣が勢ぞろいの骨太な演出を眺めていると、往年の映画の迫力を感じて、舞台でも再演もあるし、これはこれでアリだったのかとも思う。

この企画を立ち上げたプロデューサーは「リング」で一世を博した一瀬隆重氏。ハリウッドで活躍する日本のプロデューサーとして孤軍奮闘していたが、今はどうしているのだろうか。