途中までは、マイケルを使った殺しの展覧会でも見せられているようで微妙な感じであったが、み終えてみるとなかなか良い映画であったように思う。
偽物のマイケルの焼死を本物がなぞるあたりなんかは特にそうで、それなりに構成に注意していることがはっきりと見て取れる。
死に近接した子どもたちのみがオバケの格好をでき、それでもって此岸と彼岸とを繋いでみせるというハロウィンの本質はまた、死に近接しつつも、成長することでもってそこから漸進的に離脱しても行く子どもたちへの郷愁を伴いもするだろうが、マイケルはまさに後者の漸次的前進を一息に切り裂いて断ってしまうあたり、まさしく「死」の表象そのものである、とーー少しく短絡的に過ぎもしようがーー思うに至った。
人間であるはずのマイケルがなぜ死なないのか、という当然提出されることになる疑問についても、ハロウィンという時期から無理やり類推することはおそらくできて、(これは1のレビューに書いたことでもあるが)トリック・オア・トリートといわれてトリックを選ぶ人間などほぼいないなか、トリックの方を極限にまで肥大させるマイケルは人間の裏面、つまり「いつか必ず死ぬが生きている」人間に対する、「いつか必ず生き返るが死んでいる」という逆説的存在だからだろう。
しかし担当医の言う通り、マイケルは空っぽでもあるのだから、生き返ったところで心を持つ人間へと変身することはおそらくない、というのが悲しいところでもあるのだけれど。