マヒロ

仮面/ペルソナのマヒロのレビュー・感想・評価

仮面/ペルソナ(1967年製作の映画)
4.5
失語症になってしまった女優のため、一人の看護婦がその女優と共同生活をしながら治療を試みるが…というお話。

アバンギャルドでグロテスクでエロチックなオープニングが素晴らしい!
アニメやサイレント映画、羊の解体や無修正のチン何とかなど、全く関連性の無さそうな奇妙な映像群がモンタージュのように映し出されたかと思ったら、唐突に無機質な部屋にポツンといる少年と謎の巨大な顔の映像に移り変わり、そこから更に唐突に表れるタイトル「PERSONA」の文字とキャストロール!
ここまで一切本編には関係ないが笑すでにガッチリ心をつかまれてしまった。

内容的にはこの後に続く『狼の時刻』に近い感じで(どっちもリヴ・ウルマンが出てるからやっぱり関係あるのかも)、人の精神の同化のようなものを扱っていて、主演のビビ・アンデショーンとリヴ・ウルマンの顔つきがそっくりなこともあって二人がだんだん同化していくような、それともそもそも二人は実は同一人物だったのでは、みたいな、パーソナルな部分をジワジワ侵食されるような気味の悪さが良かった。

ベルイマンの映画をレビューする時よくデヴィッド・リンチの作品を例えに出しているんだけど、この作品では一番リンチらしさを感じた。白黒の画面や観客を挑発するような演出、二人の女性のどこか危うい関係なんかは、『イレイザーヘッド』+『マルホランドドライブ』みたいな印象。無修正チンがサブリミナル的に映し出されるところから…というだけではなく、その人のパーソナルな部分が侵食されるという点では『ファイトクラブ』にも影響を与えたんじゃないかなぁと思った。

古今東西のアバンギャルドな映画が好きな人には是非見て欲しい怪作。ランタイム80分程度なのもうれしい。

(2015.221)
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