不在

仮面/ペルソナの不在のレビュー・感想・評価

仮面/ペルソナ(1967年製作の映画)
5.0
舞台の上で様々な仮面を被る役者。
自分ではない誰かを演じるというのは、我々が思っているより危険な行為である。
アイデンティティーを曖昧にし、自我を切り分ける必要があるからだ。
それは撮影している監督も同じだろう。
しかしそんな身も心も切り刻んだ先に一体何があるのか。
ありとあらゆる芸術をもってしても、この世から紛争をなくす事は出来ない。
本来芸術とは人間にのみ与えられた特権であり、人を人として繋ぎ止める唯一の手段のはずだ。
それもただの綺麗事なのだろうか。
この問いに対し我々が提示出来るただ一つの答えは、それでも芸術を愛し、生きる糧にする事。
そしてベルイマンはこの先も映画を撮り続ける事を決意する。
それによって救われた人がいるはずだ。
不在

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