シズヲ

シカゴのシズヲのレビュー・感想・評価

シカゴ(2002年製作の映画)
4.2
猥雑、妖艶、そして絢爛!実に俗っぽくて華やかな娯楽作。冒頭のキャサリン・ゼタ・ジョーンズの歌唱から掴みは抜群。しかもそこから先もぶっ通しでハイテンションだ。話の大半が刑務所や裁判所といった冴えない舞台で描かれるのに最初から最後までギラついている。豪華で色気に満ちたミュージカルパートのおかげで、ろくでなしだらけの登場人物達にすら痛快さを感じてしまう。

「二流の歌手がスキャンダルを利用してスターへ上り詰める」という俗物的な内容をとことんスタイリッシュに仕上げた演出と構成に痺れる。ミュージカルパートも「舞台そのもの」を演出として落とし込み、登場人物の心情表現や場面の抽象化といった形で用いられている。そのおかげで「地味な刑務所」と「華美な歌劇」が共存していて、かつ対照的に描写されているのが面白い。終始ほぼ絶え間無く歌唱が挟まれるので段々平坦に感じてくる節もあるけど、派手なテンションが軽快に持続してくれるので十分楽しめる。
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