イトウモ

雪の断章 情熱のイトウモのレビュー・感想・評価

雪の断章 情熱(1985年製作の映画)
3.2
相米慎二だが、1983年『探偵物語』によく似た時代性を感じる。殺人事件とその真相解明を通じて人の心の汚れに触れて成長する十代の純粋な少女という物語。そこがいかにも量産品っぽくて安っぽさを感じた。

こういう安っぽい物語の飾りとしてではあるが、ロケーションがいかにも凝っている。
最初の紙芝居的な同時絵図法的長回しはやりすぎでちょっとつかれてしまったけれど、
斉藤由貴が川に飛び込むくだり、特に函館のシークエンス、寺山修司さえ彷彿とさせる夜の歓楽街には今では再現できないような妖艶な光のゆらめきがあった。テトラポッドに斉藤由貴が登って、世良公則がばしゃーんと飛沫を被るところは笑ってしまった。潔い