玄助

007 スカイフォールの玄助のネタバレレビュー・内容・結末

007 スカイフォール(2012年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

ああ。遂に007ひとりが残され、遂にシリーズ1作目から完全にMI6の世代交代が済んでしまった...。

やはり本シリーズは人の感情の機微が細やかに描かれているように思う。

MI6本部の襲撃を受け、Mはシルヴァの存在をすぐに思い浮かべたのかもしれん。その上でしらを切っていたのかも。推測でしかないが。
シルヴァがMに対し、相当に歪んでいるが、母親に向けるような感情を持つのと同様にMもまたシルヴァのことを不器用にも息子のように想っていたのではなかろうか。これは彼にだけではなく、MはMI6のエージェント、職員の全員を我が子のような存在として受け止めていたのかもしれない。ただ職務上その感情を表すことは叶わないし、おそらく彼女もそれを表せるほどの器用さを持ち合わせてはいなかったのではなかろうか。審議会で彼女がMI6の必要性を主張している時、家族に誇りを持ち、家族をを守ろうとしている母の姿が、そこに見えたように思う。

家族を想うからこそ、個人のためではなく国、家族のために動き、シルヴァを切った。母の想いに応えるべく動いていたシルヴァはそこで裏切られたと感じ、思いっきり非行に走る。んでこれを片付けたのが、家族の中でも跳ねっ返りで、問題児だけど、だからこそ母の密かなお気に入りの末っ子ジェームズだと。そういう見方もできるかなと。そう考えてみると悲しいお話ですな。

シルヴァの最後の「Free both of us」と言いながらMと自身の頭を重ねて打ち抜くことを懇願している姿は胸に迫るものがあった。彼は完全にぶっ壊れていた。彼は自身でそれをわかっていた。もう彼にはMへの執着以外に生きる意味はなく、あそこで共に死ぬ以外に彼には道がなかったのだろう。途中で、シルヴァのMに対する感情を細く描かなかったからこそ、あのシーンで彼の感情の歪み具合が一気にあらわにされて観てる方もガツンとやられた。

007シリーズへの造詣が深ければテンションが上がったんであろうシーンもちらほらあった。造詣が深くない自分はそれらのシーンをただハンカチを噛みながら観ていた。

ボンドがイヴに打たれて列車から落ちてくシーン見て「スカイフォールってこれか?」って思った。違った。実家だった。

はっ!まさか世代交代も完了して、自身の過去の清算も終えて、遂に超人007が出来上がったってこと!?
玄助

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