Inagaquilala

海底軍艦のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

海底軍艦(1963年製作の映画)
3.4
東宝の特撮作品のなかで、怪獣を主役としない数少ない作品。「主役」はタイトルともなっている海底軍艦の「轟天号」。1963年の作品だが、当時、この轟天号がとてもカッコ良く怪獣マニアだった少年の目にも映った。怪竜マンダという巨大な海蛇のような「怪獣」は出てくるが(この頭の部分が、後のキングギドラになったと思われる)、あくまでもこの轟天号が、海に沈んだムー帝国の人間たちと戦うというのが、この作品の見せ場なのかもしれない。

轟天号のフォルムは、宇宙戦艦ヤマトあたりに引き継がれているかもしれない(というか、明らかにこの海底軍艦の影響が「ヤマト」にはあると思う)。公開当時は、あまりストーリーなど頭に入らなかったが、いま再観賞すると、案外、練られた脚本(関沢新一)であることに気づく。原作は日本のSF作家の草分けと言われる押川春浪。1900年から1907年に書かれた「海底軍艦」シリーズが元になっているというが、ほとんど「創作」に近いとも言われている。監督は「ゴジラ」など一連の東宝の怪獣ものを手がけた本多猪四郎。この当時の監督作品には、同じく怪獣がまったく登場しない「マタンゴ」(1963年)という、門外不出の幻のホラー作品もある。
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