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ビフォア・サンセットのらのレビュー・感想・評価

ビフォア・サンセット(2004年製作の映画)
3.8
9年の歳月を経て奥深くなった演技と会話劇。リチャード・リンクレイター、イーサン・ホーク、ジュリー・デルピーの三人が実際に同じ年月を経て経験を積んだことが大きいのだろう。成熟してスレた二人の会話は駆け引きめいていて、本当のことを言っているのか嘘をついているのかも明確に分からないので、観ている側で推測しなければならない、という奥深さもある。

今作でも前作『ビフォア・サンライズ』と同様の撮影手法が踏襲されているが、心なしか映像的な面白さはやや欠いた気がしている。それはおそらく僅かな違いで、気のせいレベルの印象批評なのかもしれないが、ロケーションに対する撮影アプローチが前作の方が瑞々しくロマンチックで、今よりまだ若く夢見がちだった20代前半から30代になり新たなライフステージを迎えた二人に呼応するように、映像面でも「現実的」になった気がする。自分、ロマンチストなのかな…。
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