しゅう

この首一万石のしゅうのレビュー・感想・評価

この首一万石(1963年製作の映画)
3.7
BSプレミアムにて鑑賞。

雇われ人足の橋蔵が槍持ちとしてさる小藩の大名行列に加わるが、道中起こった大名同士の些細な揉め事がやがて両家の面子をかけた事態へと発展していき…。

東映らしい唄あり笑いありの明朗人情時代劇と思わせて、次第に封建制度の厳しさと武家社会の冷酷さが露わになる中盤以降の展開は見事。

貧乏小藩ならではの気安さで下層の人足とも親しく接していた侍達が、つまらん武士の面子を振りかざした挙句、いざとなれば保身の為に下郎と蔑んで槍持ちの首を生贄に差し出そうとする厭らしさ。

ただ、ラストの大立回りはやり過ぎで、あれだと虐げられた下層の人間が封建社会に一矢も二矢も報いた様に見えてしまう。

最後にカタルシスを用意したかった気持ちは判るが、あそこは矢張り抵抗虚しく嬲り殺しになってこそ、武家社会の非道さが強調された筈。
しゅう

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