人の心までカラカラな砂の地、バグダッドカフェ
何もかも正反対な二人の、特に汗を拭くジャスミンと涙を拭うブレンダのカットがとても印象的で、別れ再び出会う時は同じ構図でも涙はなく、積もる話に花を咲かせる二人の笑顔が少女のよう。
拾われてきた魔法瓶が、初めは異物として煙たがられるも根気良く人の心に入り込みやがて受け入れられるジャスミンの分身で、魔法瓶にコーヒー豆をたくさん入れるシーンはなんだか嬉しくてニヤけてしまう。
ジャスミンを、全てを受け入れる聖母と捉えてしまいそうになったが、コーヒーのこだわりは譲らないし人の領域には勝手に踏み込んでくるしでよく考えればかなり我の強い女である。
それを不快に感じさせない不思議な魅力に溢れていて、肥満の中年女性がものすごく可愛く見える。
真っ赤な夕焼け、個性豊かなカフェのみんな、遠くで聴こえるCalling you、哀愁を感じると共にほんわか幸せな気持ちになる映画で何度も観たくなる。
