くらげ

バグダッド・カフェ<ニュー・ディレクターズ・カット版>のくらげのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

Calling You の映画、くらいしか知らず興味はありつつも放置してしまっていた系。
歌は何度も聴いて唄ってお風呂場で気持ち良くなっていたけれど、メロウな情緒と何かが好転する予感の上澄みだけを口遊んでいたんだなぁ。
Amazonにオススメされるがまま開いて観たら作品全体はジンワリ遠赤外線系のホッコリ系。
あんなに劇中で流れるとは思わなんだ。
静謐な曲調から、砂漠のカフェ、ってイメージとは掛け離れていると思っていたけれど、この作品には欠かせないコンビになっていた。

必要なのか必要でないのか差し挟まれる風景を訝しみながら観ていたのだけれど、全てはビジョン。
一瞬、ジャスミンは霊能者なのかと思ったけれど、直感を信じて生きている様子からあながち違うとも言えないのかも。
水浴び?のビジョンは人々の中心になれる予感。
日々行きつ戻りつするトラックも列車も、戻って来る、を明瞭に示唆するブーメランも、砂漠の真ん中のオアシスたるカフェモーテルにこれ以上無く相応しいカット達。

ブレンダを筆頭に何もかもが喧しく噛み合わず、壊れそうな家族をドイツから来たジャスミンが解きほぐして行く。
ブレンダもね、本当は生活も家族も守りたいのに怒りに我を失って自分で壊しそうになるの、冒頭は本当に観ていて辛かったな。
直ったコーヒーマシンじゃなくてポットで濃い目に淹れるようになるカヘンガ君が可愛い。
何やら空気が険悪になるのを楽しんでいた節すらあったタトゥー屋のデビーが「仲が良すぎる」と出て行くのも大団円だけじゃない人間模様ですごく好き。
最後はミュージカルになっちゃったのか思ったし、それくらいバグダットカフェに笑顔が溢れていたのが印象的。
ブレンダ、あのまま怒鳴り続けていたらあの美声も潰れていたかも。

誰も彼もが変わって行ったけれど、本当に変化があって、その変化を必要としていたのはジャスミン自身なのではなかろうか。
手品の練習をしながら自分で驚いてるのめちゃめちゃ可愛い。
言葉の壁も少しあるからかも知れないけれど、お節介オバサンと言うには控え目でミステリアス、ただ彼女自身が人を呼ぶ才能があるんだな。
永住に関しては離婚が済んでいるかも明示されてないし、再婚するにしても旦那を持つってダルいし、プロポーズは取り敢えず保留って感じ?
スパッとそこで終わる辺りのユーモラスも好き。
Airstream住まいのオッサン、フルーツがエロい気がしてたんだけど、案の定、裸婦もイケる口。

経営が上向いた途端に帰ってきた旦那、張り倒しても良い気がするんだけど、元々そんなでも結婚したくらいだし、根底に愛があればニッコリ迎え入れられるんだなぁ。
それに、今更アンタなんて必要無い、みたいな流れだとウーマンリブ映画過ぎるか。
くらげ

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