このレビューはネタバレを含みます
引きずり込まれる「思い込み」の世界。
愛する娘との生活のため、豊かさとは程遠い健全さを求めるスタンリー。しかし、かつて凄腕ハッカーとして悪名を轟かせたスタンリーはガブリエル率いるグループへと組織されてしまう。それぞれの思惑と「思い込み」が交錯するクライムストーリー。
開始数十分、導入の切り抜き方や、人質が爆発してしまうシーンの映像など、息を呑まされる展開が続いた。所々甘さを感じさせる要素は残ったものの、作品全体を通して綺麗なストーリーであることが中盤までには明らかにされていたために、観辛さを感じることはなかったように思う。
クライム映画として、人間関係の妙で攻める作品と、物語の構成力で攻める作品とに大別するなら、この作品は前者に寄っていたように思える。そのために粗さが隠されてはいるが、最序盤に落とされた「リアリズム」に関する話がかなり浮いてしまっているような印象を受けざるを得なかった。
