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ボーイ・ミーツ・ガールのmimicotのレビュー・感想・評価

ボーイ・ミーツ・ガール(1983年製作の映画)
4.2
哀しみと哀しみが出会う物語

画面の中から二人の悲痛な叫びが聞こえてくるような...寂しさや苦しみが迫ってくる。こんな切ない映像体験は初めてかもしれない。

失恋した男女の心の内側を表した暗喩の数々と美しい表現、台詞まで詩的で、1ミリも隙がないくらいこだわってた。これが長編デビュー作だなんてやっぱりレオス・カラックス監督は只者ではない。

目を閉じてパリの夜を彷徨うアレックスの絶望の闇。

人は暗闇の中にいると光を求める。
でも、ぽっかり空いた心の穴を他の人で埋めようとしても、心が癒されるわけではないのでは..
まして同じ境遇の相手を好きになったら、写し鏡のような存在となってより悲しくなりそう。

バスタブから溢れる水
蜘蛛の巣みたいにひび割れたガラス
綺麗過ぎてポーっと見惚れた。
計算し尽くされた対比。白黒映像が美しく、そしてその一つ一つが切なくて恋愛の絶望感がヒリヒリと伝わってきた。

思い悩むドニ・ラヴァンのぎこちない動作と、哀しい表情のミレーユ・ペリエのタップダンスはきっと忘れない。
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