ミステリ映画も得意な日本の代表的映画監督、市川崑。本作はあまり知られていないかもしれないが、若い頃の水谷豊が刑事役を演じている。原作はエド•マクベインの警察小説「87分署シリーズ」の一編「クレアが死んでいる」。エド•マクベインといえば、黒澤明の「天国と地獄」の原作「キングの身代金」も有名。なので、市川崑も87分署を撮りたかったのかもしれない。とはいえ、こちらは、大作感丸出しの「天国と地獄」とは違い、地味な印象の佳作といった感じ。水谷豊は刑事であり、「クレイマー•クレイマー」のダスティン•ホフマンのような父親でもある。また、「欽ドン」の良い妻•悪い妻•普通の妻=中原理恵も出ている。公開から長い時を経てDVDが出たので再視聴してみた。思ったより、さらに地味な印象を受けた。映画技法の一つである「銀残し」という特殊なテクニックが使われているらしい。地味でも良いものは良い。杉下右京とはまったく違う水谷豊が見られる。寺脇康文とは違った相棒も出てくる。