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インプリント ぼっけえ、きょうてえのjnkのレビュー・感想・評価

4.5
「ぼっけえ、きょうてえ」は岡山弁で「めっちゃ怖い」という意味らしく、原作小説では方言使いも込みで独特の恐怖が描かれるのだけど、アメリカ資本でアメリカのテレビ用に作られた作品のためセリフは全て英語になっていて雰囲気的な怖さは大きく減じられている。

その代わりに三池崇史がやったことは原作にない鬼畜展開を容赦なく見せることで、不幸しかなかった女の人生を痛覚描写で表現した。
例えば印象に残る拷問シーンは原作では煙で炙るぐらいのことしか出てこないのが、ワキに線香押し付けるわ爪や歯茎に針刺したまま吊るしあげるわ大変なことになっている。
体が商売道具だから攻撃が見えにくい場所に限定されているのも、誰にも理解し得ない不幸というのが表現されていて良い。
その拷問する女郎を原作者の岩井志麻子がノリノリで演じていて、拷問される側より狂気に満ちた顔面が頭に残る。

そしてその描写があるからこそ、主人公の悲痛な選択に説得力が出て業も深まる。
映画で物語を語るというのは映像で示すことに他ならないわけで、テーマと描写が相乗効果で補完され、作中に出てくる血で描かれた地獄絵図のような恐ろしい作品になってた。
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