いののん

アリスの恋のいののんのレビュー・感想・評価

アリスの恋(1974年製作の映画)
4.0
エクソシスト(怖そうで観られない!)で大成功を収めることとなるエレン・バースティンは、そのあとの出演作について、次々と送られてくる脚本に難色を示していた。当時、女性には、「従順な人妻、母親、娼婦」しか演じられる役がなかったから。だから、自分でやりたい脚本を探し、新進気鋭の監督を探した。そして、当時、男の映画しか作れないとまで言われていたマーティン・スコセッシと出会い、カサヴェテス流の即興も取り入れながら、この作品を作ったとのこと。結果、多くの人に受け入れられ、社会現象にまでなったそうだ。(以上、①収録されていたインタビューと、②DVD『アメリカン・ニューシネマ/反逆と再生のハリウッド史』より、アレンジしました。)



ちょうど女性が台頭してきた時代。
主人公は、どこにでもいるような女性。
夫を補佐する人生から、自分の足で歩き始める人生へ。
当時、おそらく多くの女性がこの映画を観て、「これは私の映画だ」と感じたのだと思う。声高に女性の自立、と主張するのではなくて、ユーモアや優しさがあって、窮屈さを感じない。あたたかさがあり、繋がりがあり、わかりあえる感じがあって、居心地がいい。そして、この映画は、今も色褪せてはいない。


南へと向かう旅、というのもいい。


日光浴のシーンが本当に素晴らしい。目を閉じて日差しを浴びる、ふたりの女性。太陽が女性を祝福してくれる。まるでビーチで撮影しているかのような陽光。そこからカメラが引いていく。たとえ、すぐ横にゴミ箱があろうとも、砂嵐が吹こうとも、どんな場所であったって、太陽は祝福してくれている。


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・『タクシー・ドライバー』の時よりもさらに幼いジョディ・フォスター。どんなに幼くても風格がある。
・『Smoke』や『テルマ&ルイーズ』のハーヴェイ・カイテルも出演。強烈な印象を残す。
・すごーくいやーな夫だけど、離婚が頭をよぎったこともない、従順な妻だったのに。なぜか、こういうことになっちゃった、という設定も上手い。
・クリス・クリストファーソンがイケメンすぎる。あー、あの髭、私もさわりたい!
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