たつなみ

アメリカン・サイコのたつなみのレビュー・感想・評価

アメリカン・サイコ(2000年製作の映画)
4.0
強烈なブラックユーモアで80年代バブル期のウォール街がいかに狂っていたかを描いている。

主人公ベイトマン(C・ベイル)を始め、出てくるエグゼクティブたちは仕事よりも『いかに見栄を張るか?』にいつも腐心している。
毎日の様に有名店のディナーの予約を取り、いいスーツを着て、すぐヤらせてくれるいい女を探している。
オフィスのシーンはあっても、仕事している所は一切出てこない。
名刺の出来を真剣に競い合っているシーンはバカバカしくて笑えるが、端的に彼らの在りようを表現していると思う。

殺害シーンも80年代ミュージックが次々と使われていて陰惨さは全く無い。
観ていて久しぶりにヒューイ・ルイス&ザ・ニュースが聴きたくなった。
ハダカのC・ベイルがチェーンソーを持って走り回るシーンは一見の価値あり!

誰しもが自分の事しか見ていない世界。
ベイトマンは結局その罪を償うことさえ出来ずに狂っていくしかないんだろうか?
全体的にコメディタッチで進んでいただけに、ラストシーンはとても嫌〜な余韻が残る。

C・ベイルの見事な演技力といい、先が読めない惹きつけられる脚本といい、地味だけど隠れた傑作。