ボーはおそれているのたつなみのネタバレレビュー・内容・結末

途中から「トゥルーマン・ショー」みたいな話なんだなぁと思っていたが、ボウの身に起こるありえない様な出来事全てが母親によって仕組まれていたのかと思うと、じわじわと恐怖が込み上げてくる。
精神に異常をきたしているボウの妄想なのか、現実の出来事なのか微妙に曖昧にしている所はとても上手い。
あと笑えるくらいに人がめっちゃ死ぬ。

この狂った母親を観ていると、親子の愛情の形とは何なのかと思わされる。
発達障害を抱え、母に依存して生きるしか無かったボウにとっては、こんな狂った人間でもかけがえの無い存在。
一方、自分を含めて人の生死まで自由に出来る程の力を得た母は、様々な形でボウに自分への愛情を求めてくる。

どんどん悲惨な出来事が積み重なる展開は、観ているこちら側もボウと共に破滅に向かっていくラストを求めてゆく。
物語は最悪の結末で終わるが、彼らにとってはこの終わり方が一番良かったのではないかと思える。
正に地獄巡りの様なロードムービーだが、今回も過去作と同様「最悪のハッピーエンド」で終了。
さすがアリ・アスター監督。
期待を裏切らない。

とにかく本作はホアキン・フェニックスの名演技に尽きる。
発達障害を抱えたまま大人になった男という難しい設定ながら正に迫真の演技。
フルチンで走り回るとか凄すぎる。

あと本作はパンフレットもとても凝っていて購入の価値ありです。