みかん

キル・ビル Vol.2のみかんのネタバレレビュー・内容・結末

キル・ビル Vol.2(2004年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

キル・ビル、後編。

復讐相手5人のうち、残りは3人。
前作同様、結構ぶっ飛んだ設定もあったり、戦闘シーンでも過剰なまでの効果音を効かせて、音楽も相まって派手さもある。
そんな軽快でコミック的な演出の中で行われるバイオレンスさもある表現は、アンバランスで奇妙。
こういうアンバランスさは、今のところ見てきたタランティーノ監督すべての作品に共通していると思います。
それが魅了でもあるのかなと。
途中、カンフーの修行みたいなことするんですが、そこの師匠とか見た目は漫画の仙人みたいなキャラクターだもんな。
くるっと回って刀の上に立つシーンとか、漫画的すぎる。
前作もそうでしたが、もっとスタイリッシュでクールにも出来るはずなのに、わざとリアルさをなくしてコミック的な過剰演出、かつ滑稽にも見える表現にしているとしか思えない。
他のタランティーノ監督作品より、本作はそれが顕著な気がしました。

本作では、ラスボスのビルとの戦いよりも、性悪女エルとの戦いのほうが見応えがあり、面白かったです。
エルのやられっぷりが哀れでエグい。
あんなにクールにキメていた彼女が、あんなにも滑稽な最後とは悪趣味ー!
でもそれが良い。
まさにタランティーノ節って感じが、このシーンに詰まっていました。

ラストは、主人公にとっては子どもと平和に暮らせるようになり、ハッピーエンド。
彼女も沢山の人の命を奪っているけど、彼女の中では子どもがすべてで、それ以外は切り捨てる。
その非情さは母親という立場がそうさせるという流れ。
殺し屋として生きてきた中で、そのしがらみも後悔も承知の上で、子どものために母親として生きるというお話でした。
ビルのことを殺すことは、復讐のためもあったけど、子どもが生きているとわかった以上、汚い世界と縁を切るということでもあるのかなと。
綺麗事のない世界で、覚悟を貫き通した主人公が、哀れなのに逞しくて、美しかったです。
みかん

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