公開されたときはそれなりの話題作だったのに、現在ではテレビで放送されるたびに鑑賞していた人から「これがUSJのウォーターワールドの元ネタなんだ」と確認される程度の扱いになってしまった悲運な作品。
マッドマックスを海に移し変えるというあまりにも単純すぎる発想を、バブルの余波があった90年代らしく大金を注ぎ込んで実現させてしまった軽薄な作風ながらも、CGが本格的に導入されていないため全て作り込まれた船の細かいセット、体当たりすぎる水上アクションの数々はそれなりに楽しい。ただ主人公を含めあまり共感できるキャラはいないし、物語も大雑把なため大味な印象は拭えず。それと主人公が水の上に適応できるように進化した体を持つ設定など興味深い伏線が幾つも張られているのに、全部放りっぱなしにして映画を終了させる語り口が馬鹿馬鹿しさを増幅させている気がする。
悪人のボスを嬉々として演じるデニス・ホッパーの姿にちょっと癒される。
