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ある街角の物語のmitakosamaのレビュー・感想・評価

ある街角の物語(1962年製作の映画)
4.2
手塚の中短編。40分程度の映画だけど、短編作品のシンプルな気軽さと長編作品の重厚さを兼ね備えてる感じ。

これ確か、初見は高校の授業で見てるんだよな。何でだったんだっけ?

どこかのヨーロッパの様な街角、屋根の上の子供・ネズミの一家、そしてポスターに描かれているキャラクター達の物語。
ビジュアルはキャラにオモ線の無いデザインで、柳原良平を思い浮かべる。
それが本当に映画全体を通してアーティスティックで良いんだよなぁ。

物語は、この街角に戦争の足音が忍び寄る。それを戦争の指導者のポスターが貼られることで著してる。
やっぱり手塚のペシミズムは、自身が兵役を体験している事に起因すると思う。ことさら戦争の醜悪さ、人の愚かさを主張する。

そして演出も素晴らしい。ネズミなどのキャラクターが可愛らしく戯れたり、ポスターのキャラクターがスタイリッシュに動くが、全体にとっても緩急があるんだよ。

ストーリーも演出もビジュアルも良いなんて完璧じゃん。
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