桃子

ゴッホ:天才の絵筆の桃子のレビュー・感想・評価

ゴッホ:天才の絵筆(2009年製作の映画)
4.9
映画館で「永遠の門」を見たあと、ゴッホ関連の映画を見たくて探し出したのがこのドキュメンタリーだった。レビューを書くにあたって、再見した。40分という短い映画なので気軽に見られるのがいい。
ナレーションは誰だかわからない俳優さん、監督さんも知らない方で、登場人物は写真家兼映画製作者であるピーター・ナップという人と、ゴッホ美術館の学芸員のエレン・バクハイズという人である。ふたりはゴッホに夢中で、それぞれゴッホがたどった場所を撮影したり、ゴッホが書いた手紙を調べたりしていて、台詞はない。ナレーションはゴッホ自身という設定になっているので、この点は非常によかった。見ていて感情移入できるから。
音響も素晴らしい。デッサンの鉛筆の音、油絵を描く時の筆の音、オリーブ畑や麦畑の風の音や虫の音、そういった効果音が臨場感たっぷりに迫ってくる。
絵のアップの写し方もいい。被写界深度が非常に浅い、焦点の合っている部分が狭い見せ方は、思わず絵に集中して見てしまう効果がある。ゴッホの筆使いをアップで見られるのは幸せなことだった。
いい所がたくさんあって、ゴッホ好きにはたまらない映画である。ただひとつだけ気になったのが、エレンさんが素手でゴッホの手紙やスケッチを触りまくっていること。学芸員なら手袋をしてください。切にお願いします。マイナス0.1!
桃子

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