半兵衛

武装市街の半兵衛のレビュー・感想・評価

武装市街(1950年製作の映画)
3.3
駅を舞台に鉄道警察と誘拐犯との駆け引きを描いた珍しい刑事ドラマで、ウィリアム・ホールデンが刑事役を演じているのも珍しい。犯人を追跡する警察と人質となった娘を無傷で助けたい父親、警察の動きを監視しつつ身代金を奪取しようとする犯人グループの駆け引きが見所だけれども、警察が犯人の一人を追跡中にバレるとすぐに銃撃戦となったり容疑者の一人を捕まえると暴行して話を聞き出したりするなど当時の娯楽よりの作風なのでリアル寄りのお話を期待すると少しガクッとくることに注意。

舞台となるユニオン駅やその周辺にある駅の構造を生かした画づくりが印象的で、大群衆がひしめく駅での警察と犯人のやりとりが緊迫感を増す(今から見ると一般人に扮した刑事の変装がバレバレなのだけど)。あと中盤の牛舎に囲まれた駅の周辺でのアクションが独特で印象に残るが、その駅が構造といい階段の作りといい『フレンチ・コネクション』でハックマンが犯人とカーチェイスの末に撃ち殺した場所かと疑うがただ似かよっているだけかも。

犯人が金持ちの盲目の娘を監禁する場所がなかなか鬼畜、盲目の人間をそんな危険な場所に連れ込んだら本当に死んでしまうのではとこっちがひやひやした。

駅の地下の構図を生かした後半のアクションも楽しい、ただあれだけ近い距離で射たれたのに走り回って犯人を追いかけ回すホールデンの不死身っぷりが怖い。

警察の関係者でもないのに誘拐事件に気づいたというだけで捜査に参加するヒロインに少し困惑、しかもホールデンに皮肉めいたことばっかり言っていたのにラスト変節してデレてくるのに驚愕。
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