本作の柱となる登山を利用した殺人事件自体は無理がありすぎて(あれだと色んな偶然が重ならないと無理では)納得はしづらいけれど、石井輝男の監督作品からは失礼ながら考えられない緻密な構成と伊藤久哉という表情が乏しくて何を考えているのか読めない良い意味での不気味な存在感を生かした演出によりサスペンス映画として結構完成度の高い作品に。特に後半の事件を推理する土屋嘉男と伊藤によるネチネチと繰り広げられる推理劇は他のミステリーにはない緊張感があって必見。
でもオチは何度見てもあれでいいのかと疑問に思ってしまうのでこの点数に。
実際の山を使ってのダイナミックな映像、ほんの少し出てくる爽やかだけれど痛々しい天津敏、タイトルでは主役ポジションのように扱われているけれど実際はサブポジションな香川京子も見所。