圧迫面接的な映画俳優のオーディションを通して、ホメイニー体制を描いている。
しかし、台本なしで行われているオーディションを受けた民衆は現実に、圧迫面接を受けている。そのためホメイニー体制の戯画を演じるという名目で、圧迫面接を行なったと言い換えることもできる。
こうした批判に対して、オーディションに合格した俳優が監督の役割を演じることで状況をメタ化し、言い換えの可能性を排しているようにも思える。(当然、誰しも体制側になると支配的に振る舞うことの描写でもある)
だが、そう思えるのは、観客が常に監督やカメラの側に立ち続けているためかもしれない。寓話的な意図があれ、圧迫面接は現実に行なわれているし、冒頭の群衆雪崩は危険極まりない。
見どころの多い作品だが、決して手放しに賞賛はできない。