このレビューはネタバレを含みます
洗練された画面構成や音楽やストーリーで最初から引きつけられる映画であることには間違いないのだけど、遊園地のシーンでいきなり転調して盛り上がるというか、こちらを引く力がぐっと強くなるのは、やっぱりオーソン・ウェルズの演技力の成せる技だろうか。ここでの台詞の間や動きはほんとに完璧。
ところでこの映画での一番の悪人はもちろんあの男なんだけど、悪人でも悪女でもないけれど何だかすごく業の深いものを持ったアンナの存在感にはハッとする。ラストシーンにもハッとしたし不安な気持ちにもなった。あの女性を請け負うには彼は普通の人すぎる。