チッコーネ

アブノーマル・ビューティのチッコーネのレビュー・感想・評価

アブノーマル・ビューティ(2004年製作の映画)
3.0
映像制作の専門職出身の監督チームに『the EYE』のような心霊ホラーを撮らせると、鼻白むほどやり過ぎになる。
(香港)映画のセオリーをわかっていないのか、それとも無視しているのかというスタンスは、韓国のキム・ギドクに近いものあり。
わりと近年の『惨殺のサイケデリア』もペラペラな感じだったので、もうそのスタイルで固まったのかと判断したくなるが、サイコホラー要素が強い本作は、割とよい出来。
特に意外な展開を見せる後半・クライマックスのスナッフフィルム撮影現場場面には、美術・照明・そしてめまぐるしい編集がうまくはまっている。

ヒロインの深層心理へ迫る前半にはミソジニーならぬミサンドリーが濃厚に漂い、レズビアン映画の趣も(主演がアイドルデュオらしいので、時代柄t.A.T.u.を意識?)。
つまるところ「ママに承認されたい」というヒロインの欠落はやや退屈なのだが、彼女が裡なるモンスターへと近づく場面には、相応の緊迫感あり。
「未解決のトラウマが、作品のクオリティを高める」という『ひとりSM』の激しさもぼんやりと感じ取れる。

ストーカー男を脅す場面には2パターンあった様子。
未使用の方はクライマックスとキャラ配置が似ていたので、そちらを使った方がより、わかりやすかったかも。