「ペンタゴン・ペーパーズ」つながりで鑑賞。マクナマラ元国防長官のインタビュー。第一次大戦、太平洋戦争、キューバ危機、ベトナム戦争についての戦略を省み、手柄と自己弁護など語っています。突っ込みながら、スルーしながら、心を鎮めて観ようと努めました。
strategyという言葉、語源は軍事を導くこと。マクナマラ氏はstrategistであるが、組織のトップ(大統領)に戦争責任があることを強調。そして、戦争とは霧の中にあるという(同じ言葉はテオ・アンゲロプロスの映画にありました)。
このドキュメンタリー、マクナマラ氏の戦争人生の「教訓」から何が得られるのか。
戦争はすべきではないが、人間に生まれた以上、戦争は避けられない、と戦争を否定せず、戦争するなら、コスト(味方の犠牲=死亡者数)を最小にして、最大のダメージを相手方に与える効率的、効果的な「戦略」を立て実行すべきだ、というのが持論で要旨と感じました。
インタビュアーも突っ込んでいましたが、根が政治家なので、「真実は正直に語ってはいけない」「答えたいことだけ答える」主義だそうです。
これ観て、日本人以上にアメリカ人は怒り心頭していただろうな、と思いました。
ぶつぶつ独り言言って観てたのですが、核の力を証明したのはアメリカだから、キューバ危機はブーメランだろうに、どんな兵器を開発してもいずれ追い付かれ、どんな脅威も脅威でなくなる。緊張感ある均衡が日夜バージョンを上げていく。
子どもの頃インフルエンザで亡くなる人が世界で何百万人いて、戦争で亡くなる数より多かったと冒頭で語っていたので、死に対してマヒしいるようで、その後の話でも、ひと一人の命を軽んじているのがわかります。
スピルバーグの映画にもなった「ペンタゴン・ペーパーズ」を作成するように指示したのがマクナマラ長官です。
「霧の中」で煙に巻かれた感じでした。