にゃんこむ

そして人生はつづくのにゃんこむのレビュー・感想・評価

そして人生はつづく(1992年製作の映画)
3.8
アッバス・キアロスタミ監督による三部作の二作目。

前作『友だちのうちはどこ?』で舞台になった小さな村が地震の被害にあったと聞き、息子と二人、車に乗って村を目指す。

最初観た時はこれはフィクションパートなのか、ドキュメンタリーパートなのかわからず混乱してしまいましたが、”ドキュメンタリー風”というのがこの監督の作風なんですね。
白石晃士監督の『ノロイ』もドキュメンタリー風フィクションでありながらホラーという面白い作品です。
本作はフィクションを撮影する上で、使えそうな”真実”があれば挿入しているのか、そう見えることも踏まえて全部脚本に落とし込んでいるのかとっても気になりました。

この監督は子供時代の理不尽さを描く作品が多い気がする。
大人は良いけれど、子供はダメ、なんて言われてきたことを幼心に間違っていると感じていたのかなぁなんて考えました。
私も、実は学生時代が楽しかったなんてことをいう人の感覚はわからなくて、大人の方が楽しいじゃんと思うタイプ。
子供の頃はやってはいけない事が多すぎて、大人になってからの方が自由に行動できるので好きです。

大勢で復興作業を行う人々のシーンは、リュミエール的な面白さがあって好き。

友達のうちはどこ?はまだストーリー性があったけれど、この作品は何が何だかわからない場面もあり、それもまたこの監督の良さなのかなぁなんて思ったりもしますが、前作の方が好きでした。
困っている登場人物が、色々な人に声をかけるも、相手にされなかったり、難儀するのは前作と似ていましたね。

タイトルにもあるように『そして人生はつづく』の名にふさわしい作品でした。
にゃんこむ

にゃんこむ