泉ピン子さんがコメンテーターみたいになって登場するが、実は主役なのだ。泉ピン子さんの非凡な才能が垣間見れる。三つの実際の事件を取り上げるのだが、たとえば、一番目の西口彰事件は「復讐するは我にあり」とは違い、まるで、滑稽な怪物みたいになっている。こんな気色の悪い怪物が詐欺などできるわけがない。それを名バイプレイヤーの室田日出男が巧みに化け物を演じている。大久保清事件の川谷拓三も上手い。さかんに五分の一、五分の一と言っているが、これは、声を掛ければものにできる確率のことである。実際の事件では、おそらく、相当の努力をしての五分の一だったはずだ。いつの間にか、その五分の一がすり替わっているのである。作中の犯人はあくまでも、小心で小ズルい性欲の塊のような男だ。すべては、泉ピン子さん演じるおばはんの脳内で完結する。
