マーくんパパ

女の園のマーくんパパのレビュー・感想・評価

女の園(1954年製作の映画)
3.8
この年のキネ旬ベストテンではかの世界的傑作『七人の侍』を抑えて2位になってる。1位は同じ木下恵介の『二十四の瞳』。当時の社会背景からは抑圧された農民の叫びの娯楽活劇よりも、抑圧されてきた子女の叫びの方がインパクト大きかったのだろうと推測。京都郊外にある女子大学、良妻賢母型(戦中の銃後の母型)育成を目指す徹底した束縛干渉型教育方針電で寮に暮らす学生たちは自由のない生活を強いられている。この大学の正門前の風景、どこでロケしたんだろう、我が母校の立教大学にそっくり⁈ もしそうなら制作年度からミスター長嶋の在学時の貴重な風景なんだけど勘違いかなあ…。朝鮮戦争、アメリカではレッドパージ旋風吹き荒れている時代、〝自由を!〟と声を上げれば即反体制アカ呼ばわりされる危ない時代、従順な子女を育てる校内から反旗の手が挙がって学校側は慌てふためく。親の反対もあり東京の恋人とも会えず、真面目に勉強の遅れを取り戻そうとしても寮長からは消灯規則は守れと四面楚歌の生徒高峰秀子は次第に精神を壊していき悲しい結末を迎える。ちょっとしたオシャレにもとやかく言われ素行が悪いと停学処分を受ける生徒岸恵子。大学のパトロン財閥の娘久我美子は1人庇護されている事に反発し狼煙の先頭に立つ。世間から比べればこの時代大学に進める事自体、皆んな恵まれた家の出自。逆に従来ならば保守体制側であるべき子女が声を上げる事に新しい戦後日本の息吹を感じる新鮮さが受けたんだろう。旧体制側の憎まれ役寮長、高峰三枝子の度重なるクローズアップ表情がインパクト効かせ最大の熱演適役でした。