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倦怠のtakのレビュー・感想・評価

倦怠(1998年製作の映画)
2.5
醜い。シャルル・ベルリング扮するこの男の姿は、実に醜い。性に溺れ、嫉妬に狂う。女の言葉を信じず、目をギラギラさせて、「愛はいらないから真実を話せ」と言う。それは所有欲とも言えるのだろうけど。

彼は自分の内にわき上がった感情を理解することも、コントロールすることもできない。彼は専門である哲学と同じように、ひたすら考え続ける。それでもわからないから傍若無人に元女房に尋ねる、気持ちや彼女とのやりとりをブチまける。見苦しい。「ただの興味」だった対象が、彼の中で欠くことのできないものに変わっていく。彼は自分を抑えられなくなっていく。男の感情って暴走を始めたら、こうもなってしまうのだろうか。彼の行動は常軌を逸しているけれど、心のどこかで彼の行動を「そうだろなぁ」と理解できている自分がいることに気づいた。うーん。

一方ソフィー・ギルマン扮するセシリア。「感じがいい」から付き合っているとか、感情のことを考えると「わからない」とか、フィーリングだけで物事を決めてしまう彼女。そんな彼女を主人公は理解できない。主人公と俳優の彼氏との二股かけている彼女だが、「どっちも好き。二人が友達ならいいのに。」と言う。男にとっては一人の女めぐって対立するんだから、冗談言っちゃいけねぇよ。そして彼女の”愛情”は、死にかかっている父親にさえも向けられないという”感覚麻痺”を知り、主人公は絶望するのだった。

肉付きのよいギルマン。演じた役に僕はあまり魅力を感じなかったけれど、この役柄にはピッタリの女優さんなんだろうな。タイトルどおり、退屈な映画?と言われればさにあらず。でも何度も観ることはきっとないだろう。
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