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女系家族のkojikojiのレビュー・感想・評価

女系家族(1963年製作の映画)
3.8
 また、新たな領域が開けた。

 この映画のドンデン返しは面白い。中村鴈治郎のその時の演技はまさに必見!
流石に山崎豊子。面白さのツボを知っている。

1963年 原作山崎豊子 監督は三隅研次。評価が高い監督であることは知っていた。
座頭市、眠狂四郎でお馴染みの監督だが、文芸作品は観たことがなかった。こんなに面白い映画を作っているとは知らなかった。
 考えると1960年~1970年代の現代劇、文芸作品は観ている数が少ない。いい作品があり、充分楽しめることを知った。

 舞台は大阪。代々女系で継承されてきた暖簾を誇る大商家で、当主・嘉蔵が急死する。彼が残した3人の美しい娘達。長女藤代(京マチ子)、次女千寿(鳳八千代)、三女雛子(高田美和)は、莫大な遺産をめぐって争い始める。醜い争いが続く中、死んだ当主が愛人(若尾文子)を妊娠させていたことが発覚。大番頭や娘らは権謀術数を張りめぐらせて、愛人にびた一文やりたくない姉妹はなりふりかまわぬ手段にでる。さらに大番頭や長女の恋人などがからみ、色と欲とで事態はより複雑になっていく…

 3人の姉妹、愛人、大番頭、叔母これら欲の塊のような人物を演じる俳優達、誰をとっても演技が上手い。その中でも、すぐに頭に浮かぶのが大番頭役中村鴈治郎だ。
 小さい頃は、彼が出てくる映画は嫌だった。勿論、彼の良さなどわかるはずもないし、彼が出るような映画に興味を持つはずもないのだが、この年になると燻銀のような彼の演技には魅入ってしまう。
 新たな領域とは、まさに彼が活躍するような映画なのかもしれない。いい映画作ってるじゃないかと邦画の力を見直した。

 これから、また楽しみが増えた。
2022.11.7視聴-500
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