ユースケ

ファイト・クラブのユースケのネタバレレビュー・内容・結末

ファイト・クラブ(1999年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

「職業がなんだ?財産なんて関係ない。車も関係ない。財布の中身も、そのクソッタレなブランドも関係ない。お前らは歌って踊るだけのこの世のクズだ!」
画面を歪ませる程の不平等な格差社会やメディアによって作り出された物質主義に対する怒り。本作を男性主義だとか、女性差別だとか、暴力映画だとか、ぬかす本質の見えないタマなし野郎は、タイラー・ダーデン師父の言葉を心に刻み込め。

「お前は物に支配されている!」「自己啓発なんて自慰行為だ!」など、ありがたいお説教だけでお腹いっぱいですが、ヌンチャクを振り回したり、ジークンドーの構えをしたり、【ドラゴンへの道】のチャック・ノリスの胸毛むしりを再現したり、反骨精神の化身であるブルース・リーと化したタイラー・ダーデン師父の勇姿は要チェック。

とにかく、名言連発の薬品やけどシーンは必見。
「痛みを消すな!受け入れるんだ!苦痛なしじゃ、犠牲なしじゃ、何も得られない!人生最高の瞬間を味わえ!」「子にとって父親は神だ!その父親に捨てられた俺たちは神の望まない子だ!何が天罰だ!何が贖罪だ!神なんて要らない!ざまーみろ!」「いつか必ず死ぬって事を心に刻め!全てを失ったものだけが本当の自由を知る!」…たまりません。

最後に、劇中にカット・インされるサブリミナル・カットはただの遊び心ではありません。全ては名無しの主人公(エドワード・ノートン)が、理想の自分であるタイラー・ダーデン(ブラッド・ピット)の人格を取り込み、現実の自分の写し鏡であるマーラ・シンガー(ヘレナ・ボナム=カーター)を受け入れる感動のラストシーンにカット・インされる男根のカットへの布石。タイラー・ダーデン師父が我々を監視している証なのです。

【ファイト・クラブ】が終わっても【ファイト・クラブ】は続く…自分の人生を本気で生きろ。ぶっ生き返せ。