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誰も知らないのmaiのネタバレレビュー・内容・結末

誰も知らない(2004年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

重いテーマとわかっていたので
なかなか観る気になれなかったけれど
やっと鑑賞。
思っていたよりそこまで凹まず観れたのは
「ジャッジしない」子供を主役にし、その目線で描かれたことが要因のひとつであろう。
子供というのは社会のルールや社会の当たり前を理解していないが故に正しい正しくないでは判断せず感情や気持ちでものごとをみる。

それ故にこの映画はより純粋に出来事を描いているように思え、
【ドキュメンタリーよりもドキュメンタリーな映画】という印象を受けた。

人間は客観性を持ちたくても主観から逃れることは絶対に出来ない。
ドキュメンタリーすら、監督の視線からは逃れることはできず、また出演者は見られているという意識から視線をコントロールしようとしてしまい、実際起きたことからどんどんズレていくように感じる。

主観フィルターを出来るだけ濁りの少ない子供の視線を使い、監督自身も徹底的に寄り添うことで【ドキュメンタリーよりもドキュメンタリーな映画】を実現していると思った。

余分なジャッジを排除したものの良いことは、鑑賞する側に判断や思考を委ねる点だ。
このやり方は社会的なテーマととても合っていて、私自身色々考えさせられた。

ヤングケアラーやネグレクトという問題も話題の切り口になりそうだけれども
個人的には姿の見えない男たちについて考えた。母親に問題があったのは勿論だけれど、
蒸発した明の父親や、ゆきの父親かもしれないとおもいながら、あわよくば母親と同じように子供たちを放置した男たちはどうか?

兎にも角にも家族という問題についても様々に考えさせられる良い映画だった。
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