<概説>
言葉を愛する男と感情を愛する女の逃避行。死体、爆薬、幻聴。独特な断片を散りばめながらひとつの結末に収束する。ヌーヴェルバーグ運動の旗手ゴダールの代表作のひとつ。
<感想>
娯楽目的外の映画鑑賞ってあまりわかったようなことを言うのは差し控えたいのですが、これはわかりやすく良かったです。映画鑑賞というひとつの枠組みをうまく再構築できたというか、ちょっと言葉にするのが難しい。
商業映画ばかり見ていると無意識に、これが正しい視聴態度だなんて固定観念がありました。けれどその前のめりな態度は本作の美点を邪魔していて。あれやこれや試行錯誤の末の感情的な視聴態度。斜に構えない言語化未満の姿で見た瞬間のなんと美しいことか。
一瞬一瞬が美しい。
垂直な車/横断していく愚鈍な刃/挟まれる男/死神ならぬ死神の幻影/青/ベトコン/波打ち際の睦言/ピエロのような人生/最悪の歌
断絶しているようで繋がっている。繋がっているようで断絶している。風刺をしながら風刺にならず、風刺をしていないかのように風刺をする。
観客をえり好みはしますけれど、映画という媒体が好きならば良作。実際には私はまだこの作品を1割も理解していないのでしょうが。